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映画「理由」

B0007URZAG理由 特別版
村田雄浩 宮部みゆき 大林宣彦 寺島咲
角川エンタテインメント 2005-04-28

by G-Tools

映画「理由」を見ました。(公式ホームページはこちら) 大林宣彦監督作品で、宮部みゆき原作とくれば、見ないわけにはいきません(笑)

新宿武蔵野館で見たのですが、横に9席×10列という、こじんまりした映画館です。

客層は圧倒的に年配の方が多かったですね。40代・50代くらいの方が中心といった感じです。
祝日ということもあってか、1席の余裕もない満席でした。

映画は、予想以上に良かったです。

ただ、ミステリー的な謎解きの要素を期待している人には物足りなく(もっとはっきり言えばつまらなく)感じたかもしれません。
専有屋という商売がどのようなしくみで成り立っているのかといったシステム的なことにはほとんど触れられていませんし、疑似家族であった4人がどうやって一緒に住むようになったかのいきさつや、八代祐司がその疑似家族を殺害するにいたった直接の理由なども、ほとんど説明されません。
ですから、原作を未読の人には、もしかしたらわかりづらい部分があったかもしれません。
原作から「家族の物語」の要素をとりだして、それを鮮明に映像化した、というのが、僕のこの映画のイメージです。
しかし、あの長い原作を2時間40分という枠に収めながらも、「家族の物語」にしぼったとはいえ、あれだけ説得力のある内容にしあげるというのは、「映像」の持つ力の大きさを改めて感じました。
それぞれの家族の抱えた背景的な事情というのは、かなりしぼった内容しか説明されないのですが、心情面の本質的な部分は押さえているのではないかな、という感じです。

ただ、いただけなかったのはラストですね。
原作が書かれた時代よりも、現在はさらに「殺人」が特殊なできごとではなくなってきたのは、悲しいことに事実ではないかと思います。
「だが、いつか未来のどこかで、それも思いの外近い未来のどこかで、ごく普通の人々が、ごく普通に、小糸孝弘の疑問(akira註:『僕もおばさんたちを殺したんだろうか』という疑問)に答えることのできる時期が来るだろう」
これは、原作のラスト、そして映画のラストにも引用される言葉なのですが、まさに、それが実感を持って聞こえる時代になったしまったといえるでしょう。
しかし、そのことを、八代祐司の幽霊を、明らかに合成とわかる映像で街に飛び込ませる、という絵で表現したのは、よくなかったのではないか、と思いました。
「飛び込む」のではなく、すでにどこにでも存在する、という描き方であるべきではなかったのかな、と思うのです。
それまでの映像が見事だっただけに、少し残念に感じられました。

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