「BETWEEN ノーマネーand能天気」
![]() | BETWEEN―ノーマネーand能天気 (集英社文庫) 川上 健一 集英社 2008-07 by G-Tools |
「翼はいつまでも」の川上健一さんのエッセイです。
「翼はいつまでも」は、近年僕が読んだ小説の中でも、十指に入るくらい好きな小説です。
でも、それが川上さんの十年ぶりの小説であったとか、坪田穣治文学賞を取ったとかいう話は、このエッセイで初めて知りました(^^;
このエッセイは、川上さんが小説を書いていなかった十年間の生活を中心に描かれています。
体を壊し、収入がないために田舎で貧乏ぐらし…というと、暗い感じがしてしまいますが、
この本を読む限りでは、そんなことも無いようです。
まず、印象に残るのが、家族の姿。
金銭的に豊かでなくても、家族のために使う時間、家族のことを思う時間の豊かさがあれば、
幸せに生きられるのだなぁということが伝わってきます。
もちろん、物質的にぜいたくな生活ができないこと、自分たちの手足を使ってしなければならないことの多さ、これから先の生活の保障のなさなど、良いことばかりではないでしょうが、そんな中で、自分たちの持っているものを前向きにとらえて生きようと思える心の持ちようというのが、素敵です。
また、周囲の人たちとの交友関係も楽しそうです。もちろん一緒に釣りをしたりゴルフをしたりという遊びの部分というのもあるのですが、生活面でも互いに支え合っているという感じがします。「魔女の宅急便」の「おすそわけ」の話を思い出しました。こういった半自給自足的な生活、「おすそわけ」的な地域共同体のあり方というのは、ちょっと前までは、日本のどこででも行われていたことのはずなんですよね。
最近は、自然志向が強まっているので、それにマッチしているとも言えますが、でも、この本はそういう主義主張とは無関係に、素直に「楽しそうな生活だなぁ」と思わせてくれるところが良いですね。
最後にもう一つ。最後の方では、十年ぶりに書く小説、「翼はいつまでも」の話が出てきます。
あの本が好きな僕としては、あの話がどうやって紡がれたのか、というエピソードにふれることができたのは、幸せでした。
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