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「おと・な・り」

109シネマズ・MM横浜にて鑑賞。
「虹の女神」の熊澤尚人監督の作品ということで、期待しておりました。
「ニライカナイの手紙」でも、主人公はカメラマンだったし、今回も主人公の一人はカメラマン。そういう設定がお好きですね。

タイトルが示す通り、「生活音」を通して繋がっているおとなりさん同士の話です。
ですから映画でも音の質には気を遣っているようで、そういう意味でも映画館で見て正解でした。
もちろん、心地良い音ばかりではなくて、時には不快な音もあって、腹を立てたりすることもあるわけですが、それでも「人の存在を感じ取る」手段にはなっているわけです。
人を感じる意識がもっと鈍ければ、生活音なんて気にしないか迷惑に感じるだけだし、もっと交流のある場であれば、音だけでつながっているなんてないわけですから、いかにも現代の都会的な状況なのかなとも思います。
そういえば、「毎日通っているコンビニ」なんてのも、割と重要な役目で登場してますし。

そういった関係が、物語のラストの方で、大きく変わってきます。音以外のつながりが、発見されていくのです。この「発見」というところがミソで、前から自分の中にあったものだからこそ、共通点がみつかった時に、「自分が認められた嬉しさ」を感じることになるのでしょうね。
主人公の二人が、それに気づいた所でストーリーはおしまい。「出会い」までしか描かれていないのですから、恋愛映画とはちょっと違うのですが、それでも幸せな気分で見終われる映画ではないかと思います。実は、エンドロールで、二人の未来を暗示する場面が流れるのですが、音にこだわった映画らしく、流れるのは音(セリフもふくめて)のみです。そんなエンディングも素敵でした。

ただ、この映画は恋愛的要素だけで成り立っているわけではなくて、悩めるアラサー(around thirty)の物語でもあるわけです。三十歳独身で仕事も順調ではあるんだろうけど「自分らしい仕事」ができているかどうかわからない。結婚とか子どもを持つということに憧れもあるけれど、自分は、となると考えてしまう。親との関係もしっくりいかない。そういう、色んな要素が、しかもさりげなく配置されています。だから、先ほど「幸せな気分で見終われる」と書きましたが、見ている間じゅう、ずっと幸せな気分でいられるかというと、そうでもないと思います。結構、ドキッとさせられるどんでん返しもありますし。

最後に、写真関係のことをいくつか。
先ほど挙げた「音以外のつながり」の中に、ふるさとの風景が入っています。聡が高校時代に写真雑誌に送って入選したコスモス畑の写真。七緒がいきつけの喫茶店で見上げる狭山湖の写真。これが、二人の接点になっていくわけです。僕も、写真を撮る人間ですが、こういう写真のあり方って素敵だと思います。芸術の世界では「オリジナリティ」が求められる部分がありますが、僕はそういうのって苦手なんですよね。みんながどこかで感じていることを、きちんとすくい上げて形にしたい、それが僕が写真や、物語に求めていることなのかな、と思いました。
それから、聡はカナダに行って風景写真を撮ることを夢見ているのですが、そのカナダの写真を提供したのが、写真家の吉村和敏さんだそうです。僕は、吉村さんのブログの愛読者ですし、展覧会も拝見させていただきました。今、吉村さんは日本の風景写真にも取り組んでいらっしゃるそうなので、僕としては、カナダよりもそちらの方が楽しみなんですが。

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コメント

akiraさん、こんにちは(^^)/
気になる映画でしたが、akiraさんのコメントを読んで益々観たくなりました。
微妙な感情やこの作品なら音...最近の邦画は繊細で描き方がすごくイイですね!
お金かけるだけじゃなくて人を惹きつけることができるんだなぁ〜って思います。

明日、私も映画に行きます。
ミーハーですが(^^;)「天使と悪魔」。
原作読んですごくおもしろかったから夫を誘って。
久しぶりにデートです(^^)/

投稿: Nao | 2009.06.26 16:26

Naoさん、こんにちは。
「益々観たくなりました」などという嬉しいコメントをありがとうございます。良い映画だと思うので、ぜひご覧になって下さいね。
ついでに、やはりお隣さんの話である「スペース」(加納朋子さんの小説)もオススメです(^^)
ご夫婦で映画、いいですねぇ! 楽しんできて下さいませ(^^)

投稿: akira | 2009.06.26 19:14

こん**は。力の入ったレビューで、興味深く拝見しました。こっちは音楽に気をとられましたが、akiraさんは写真、個人的趣味によって観かたが変わるところが映画の面白さですね、そしてそれに応えるだけの作りをしていたと思います。エンドロールは個人的には大変気に入りました、麻生久美子のコミュでも良かったと言う意見が多かったです。

投稿: ゆうけい | 2009.06.26 22:30

ゆうけいさん、こんにちは。
どうしても、興味のある方へ目がいってしまいますからね(^^; 聡の使っていたのはソニーのα900というモデルで、当然AF機なのですが、撮影する時にピントをMFで合わせてるなぁとか、どうでもいいことを考えながら見ていた自分がいます(笑)
「風をあつめて」は、僕はエンドロールで作詞・作曲者を知ったくらいで、全然知識がなかったですが、中学の謝恩会の会場でBGMとして流れていて、そういう芸の細かい所が、すごいなぁと思いました。
写真にしろ、音楽にしろ、それを趣味にしている人間が見て、不自然でない作りになっているのは、撮る側・演じる側がしっかり考えているということなんでしょうね。
それにしても、エンドロールにあんな仕掛けがあるとは驚きです。「時をかける少女」(初めてみたのは劇場じゃないですが)以来の衝撃かも(笑)

投稿: akira | 2009.06.26 22:56

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