TPPと医療制度
TPP関連の話の第2弾は、医療制度についてです。
以前から関心のあった農業と違ってこちらはにわか勉強の感はぬぐえません。が、僕の目にするTPPがらみの医療制度についての話が、かなり強引な論理展開が多いので、それでも疑問を呈さずにはいられないのです。
農業の法人化がTPP以前から議論されているのと同様に、医療制度においても根はTPP以前からあるようで、小泉内閣の規制緩和政策の中でも導入が議論されていた内容だそうです。とすれば、こちらも農業と同じようにTPPという外圧を利用しして、国内の制度を改革する動きであるという側面もありそうです。
医療制度において、TPP参加で変化するであろう点は、主に二点あるようです。それは、混合診療の解禁と、株式会社の参入の解禁です。
混合診療とは、簡単に言えば、保険診療と自費診療を組み合わせた診療です。現在は、ごく一部を除いて混合診療は禁止されており、保険診療を行う場合にはその範囲内での治療が行われ、自費診療の内容をふくむ場合には保険診療と同じ治療を行う場合でも保険診療扱いにはならないのです。
混合医療が導入されると、費用をかけるかかけないかによって医療の内容を変えることができるようになります。逆に言うと、お金の有無によって受けられる治療に格差が生じることになるわけです。
TPPに反対する人たち(=混合医療解禁反対派)が問題視するのはこの部分で、混合医療が解禁されると、医療に不公平が生じるというわけです。
ただ、僕が思うに、保険がカバーする治療内容の範囲を変更しない限りは、「お金をかけることでより充実した診療を受けることができる」という選択肢が増えるだけで、即座に医療レベルの低下につながるものではないはずです。
混合診療の開始によって「医療レベルが低下する」には「医療保険のカバーする範囲」の規定を変えることが前提なのですが、TPP反対を唱える人の主張には、この部分が省略されていて、混合医療が開始される=医療レベルの低下と即断されているケースがほとんどです。極端な場合は、混合医療の「解禁」と混合医療「だけになる」の区別もつけていないこともあるくらいです。
さらに言うと、TPPの交渉内容が「混合医療の解禁」「医療保険のカバーする範囲」を含んでいるのか、含んでいるとしたらどこまで強制力があるのか、ということにも全く触れられていません。僕が調べた範囲では、「混合医療の解禁」は交渉内容になる可能性があるが、「医療保険のカバーする範囲」については国内に決定権があるようです。
僕が冒頭で「強引な論理展開」と言ったのは、この辺りで、本来あるべき様々な条件を、まるで無いように説明してしまうのは、いくら「わかりやすくするため」という理由があるにしろ、少々乱暴すぎるのではないかと思うのです。
現在、医療の現場では人手不足が深刻化しているそうです。その原因は様々あるでしょうが、理由の一つに病院の財政難があると思います。財政難であるが故に人を増やすことができず、低賃金労働・長時間労働が恒常化しているという話も聞きます。混合診療が始まると、病院が利益を追求するために患者の選別を行う、などという危惧もあるようですが、僕は、医療現場の労働条件を良くし、医療の世界に人材を確保するには、病院の経営がある程度利益があがる構造にしなければならないのではないか、と考えています。
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