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「氷菓」 手作りチョコレート事件

アニメ「氷菓」の「手作りチョコレート事件」の記事、予習編だけ書いて、見終わった後の記事を書いていませんでした。今日はちょうどバレンタインデー、ということで、長く放置してあった宿題を片付けてみたいと思います。

冒頭、中学生時代の摩耶花の回想シーンと、現在の古典部の部室のシーンがあります。原作では、この場面にかなりの字数を割いており、「手作りの定義」というもってまわった言い訳でチョコを拒否する里志と、律儀にチョコの歴史や製法を研究する摩耶花が描かれています。二人の人となりをよく表すエピソードで、個人的にお気に入りの場面なのですが、アニメではさすがに尺の関係でかなりカットされています。ただ、摩耶花の怒りを、アニメ的に凝った演出で表現しており、やはりうまいなぁと感心させられます。まあ、千反田さんに漢字を聞かれてうろたえる摩耶花を見たくはありましたが(笑)

それはともかくとして、その次の演出はちょっといただけません。おそらくアニメ化が決まった段階で多くの奉える派が期待したであろう「わたしの家では、本当に親しい方にはお歳暮やお中元をお贈りしないことにしているんです。ですから、バレンタインチョコレートも欠礼させていただきますけど悪しからず」という台詞です。あれは、えるが奉太郎を「本当に親しい方」に分類しているのが「無自覚」であるから良いのです。ついでに言うと、それを聞いた奉太郎が、ちょっとがっかりして、笑っている二年生に八つ当たりしてるトコとかもね。この辺りの細かい心情表現が、アニメでは「二人の照れた様子」に集約されてしまったのは、何かもったいなかったです。

しかし、アニメの「手作りチョコレート事件」の最大の改変は、そこではありません。
原作のラストでは、奉太郎は、里志の考えをあまり理解している様子ではありません(彼がそれを理解するのは、その次のエピソード『遠まわりする雛』の時です)。彼がここで里志を許しているのは「彼に言いたくないことを言わせてしまった」という負い目のためであり、里志が全てをさらけ出しているだろうとは考えていないようですし、全てをさらけ出す関係を「照れくさいものだ」と考えている節があります。
摩耶花についても、えるの行動を見越して、里志にチョコを受け取らせるための策略をめぐらしたのでは、と考えています。そして「俺にはわからなかった。もう何も、わかる気がしなかった」という独白につながるのです。
これに対して、アニメの奉太郎は、里志に対して「お前は、器用なクセに不器用すぎる」と声をかけています。明らかに、里志の心情を理解し、受け入れている雰囲気です。したがって、この後に続く「『すまん、お前のことを何もわかってなかった』というべきなんだろうな」という台詞は、ここで里志を理解したことを示す台詞に聞こえます。しかし、原作の「俺はやつに言うべきだろうか。『すまん、俺は福部里志のことを何も知らなかった』と」という台詞(疑問形になっている)は、「理解していない」という方に重点が置かれているように思うのです。
さらに、アニメでは摩耶花がえるに真相(というほど詳しくありませんが)を話しているシーンが追加されており、えるも摩耶花の気持ちに同調している雰囲気です。
原作では、えるは最後まで真相を知らされていないと思われ、奉太郎の屈託の一つにえるをだましているという後ろめたさがあるはずです。アニメでも奉太郎はえるが真相を知らないとは思っているのですが、聞いているえるの表情が、そういう奉太郎の気持ちをえるが分かっているという顔になっているので、原作のような苦い感じが全くないのです。

かくして、古典部シリーズの中でも屈指の「苦い話」であったはずの「手作りチョコレート事件」は、古典部メンバーの相互理解を促進する「甘い雰囲気のお話」になってしまったのでした。
アニメを見終わった後、「しかし『手作りチョコレート事件』を見終わって、なぜこんなに幸せな気分にならなければいかんのだ。納得がいかない。納得がいかないので、もう1回見る(笑)」などとツィートしてる僕ですが、原作が好きな割には、これだけの大きな改変を受け入れられるってのも不思議でした。

ちなみに、橋の上での里志の台詞は、だいぶかみ砕いた説明になっていたと思います。原作の里志は、もっと冷笑的(自分に対してもね)だし、難しげな言葉を意識して使うところがあるので、原作では論理に振り回されてる感があるけど、アニメは妙に自信なさげで、可愛げがありました。
それに、「摩耶花はいいよ。本当にいい」という里志に対して「なら!」と里志に詰め寄る奉太郎。この辺は原作の冷めてる奉太郎とはひと味違いますね。もっとも、原作でも「だがお前は千反田を傷つけた」とか言って怒ってるので、この辺から「雛」への布石はおかれているわけですが。

なお、アニメ放送当日のtwitterのログはこちら↓です。
http://twilog.org/akira3931/date-120911

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