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今さらですが「TARI TARI」を語ります その2

あまりきっちり章立てを考えているわけではないのですが、今回は来夏(こなつ)の話です。

来夏は「合唱時々バドミントン部」の発起人であり、他のメンバーを部に引きずり込んだ張本人です。
そういった役目を担ったキャラクターにありがちな「元気がよくてかわいい子/単純でわかりやすい子」(高橋先生談)なのは間違いないですし、突飛な行動も多いのですが、それだけでは語れない面もあります。

彼女は、二年生の時の合同音楽会で緊張のあまりひどい失敗をしてしまい、それから一年近くの間、歌わせてもらえずピアノの譜めくりを担当しています。が、顧問と決定的に対立して「これでは歌わないまま高校生活が終わってしまう」と、別の部を立ち上げることを決意するのです。
緊張しやすい性格を克服するために駅前の広場で歌う練習をしたり、一年近くも譜めくり役を続けてまで部に居続けたり、そもそも普通科の生徒であるにも関わらず音楽科の生徒ばかりの声楽部に所属していたり、これまでも色々な努力を続けてきたのでしょう(漫画版では音楽科を受験したけど合格できなかったというエピソードも入っています)。
彼女の音楽の原点は、小さい頃祖父と一緒によく聞いたというコンドル・クインズの歌で、昨日や今日、合唱を始めたというわけではありません。
しかし、それでも彼女は自分が音楽の才能に恵まれていないことを自覚しています。彼女が歌いたいのは自分が歌を好きだという気持ち、歌を歌うのが楽しいという気持ちを抑えきれないからで、自分を見下している顧問(教頭)や声楽部のメンバーには対抗心を持っているものの、プロの音楽家になりたいとか大会で優勝したいとか、そういう野望を抱いているわけではありません。
この作品の最終回で大学に進学した後の来夏の様子が少しだけ出てくるのですが、そこでも彼女は歌ではなく、他の活動を始めるような描かれ方をしています。
歌うことに迷うことの少ない彼女が、歌うことを忘れそうになる場面が二度あるのですが、そのうちの一つがあこがれのコンドル・クインズと出会い、彼らの歌を生で聴く機会に恵まれた時でした。歌う側ではなく、聴く側へと意識がいってしまうのですね。
しかし、その時には紗羽(さわ)の一喝とコンドル・クインズのメンバーたちからのアドバイスで、ささやかながらも自分たちの舞台を手に入れる道を選ぶことになります。
大きな舞台でなくても、専門家としてその道を究めることができなくても、自分たちのために歌うこと、それが彼女たちが選んだ道です。ある意味、アマチュア賛歌ともとれるでしょう。

これは全く個人的な事情なのですが、僕は大学時代に小説の同人誌を主宰していました。こうしてブログに文章を書いて発表しているくらいですから、自分の考えを文章の形にして発表したいという気持ちは今でも失っていませんが、「TARI TARI」を見て以来、もう一度小説も書いてみようかという気持ちになっています。
さらに、もう一つの趣味である写真でも、この作品に背中を押されるような形で、公募展に出展するようになりました。
第1回の記事で「『行動』になってしまうことの方が多かった」と書いたのはこの辺りです。
そういう意味で、僕にとってこの作品は、大きな意味を持つ作品になってしまったのですが、和奏(わかな)のエピソードだけではこんな気持ちにならなかったはずです。

さて、話を来夏に戻しましょう。
和奏が母親との約束を果たせなかったことを後悔している時に、来夏はその気持ちをそれとなく察して、自分も祖父との約束を果たせなかったことを話します。約束を果たせなかったからこそ、悔しいので、祖父のことをいつも思い出すのだと、後悔を前向きな気持ちに変える視点を示してくれるのです。
しかも、それが、和奏の話とは関係なく、自分の昔話を単に紹介しているのだ、という感じで。
紗羽の悩みに対しては的外れな心配をしたりもしているのですが、押しが強いようで、実は細かな気配りもできる子なんですね、来夏は。

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