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東北旅行記04

最終日。今日はお昼過ぎには仙台を出発しなければなりません。あまり多くの場所は回れないので、やはり「桜の下で待っている」の舞台になっている瑞鳳殿に行くことにしました。瑞鳳殿は、初代仙台藩主・伊達政宗公の墓所で、市内を循環している観光バス、仙台るーぷるで十分ほどの距離にあります。
仙台るーぷるのバス停は、瑞鳳殿へと続く急な坂道のすぐ下にありました。坂道を登る人に無料で貸し出される杖が置かれた駐車場の横を通り、坂を上り始めます。坂道が石段に変わる辺りで、瑞鳳殿へ登る石段と、下ってくる階段の分かれ道がありました。「桜の下で待っている」では、主人公の男性が中学時代の同級生と偶然に行き合う場面があるのですが、その場所はこの辺りなのかなと考え、写真を数枚撮影。後で本を確認したところ、行き合うのは石段に入る前で、もう少し下の方でした。足を運ぶ前に確認しておけば良かったと後悔したのですが、後の祭りです。
高い杉の木立に囲まれた長い石段を上りきると、そこが瑞鳳殿の入り口。料金を払って中に入ります。ちなみに「桜の下で待っている」の同級生は、妊娠して安定期に入った後の運動に瑞鳳殿の階段を散歩しているという設定なのですが、有料のエリアを通らなくても、料金所のわきにある細い道を通って先に進むことができるようになっています。
そこから先は死者の世界と言われる涅槃門をくぐり、さらに石段を登ると拝殿があり、その前には梅が咲いていました。梅の写真を取っていると、ボランティアのガイドの方が、この梅は臥龍梅と呼ばれ、朝鮮出兵の時に伊達政宗公が母親に見せるために持ち帰ったものと云われている、という話を聞かせて下さいました。
平日で他の参拝者が少なかったこともあり、ガイドの方が随分とたくさん説明して下さいました。瑞鳳殿の場所は政宗公の遺言で指示されていたこと。政宗公が亡くなったのは江戸の上屋敷であること。死因がガンであったこと。重い病気を押して家光公に拝謁し、病状を心配されたこと。遺体は防腐処理をされて江戸から仙台まで運ばれ、駕籠のまま地下の石室に安置されたこと。瑞鳳殿は戦災で焼失し、現在の建物は戦後再建されたものであること。現在拝殿と瑞鳳殿の間にある礎石は、昔の拝殿のもので、前は拝殿と瑞鳳殿が隣接していたこと。その当時は拝殿からしか参拝できず、瑞鳳殿のすぐ前に行くことはできなかったこと。再建の際に石室の調査が行われ、政宗公の血液型や身長も調べられたこと。政宗公の像は本人の希望により両目が開いたものになっていること。瑞鳳殿の両脇にある石灯籠は、政宗公の死にあたって殉死した家臣のものであること。などなどです。こうして色々な話を聞くと、歴史上の人物である政宗公に、親しみがわいてきます。
ガイドの方にお礼を述べ、瑞鳳殿に参拝した後、資料館ものぞき、瑞鳳殿を後にします。そして、少し離れた場所にある二代忠宗公の感仙殿、三代綱宗公の善応殿へも参拝。こちらは、二棟が並んで建っています。

再び長い石段を下り、バス停へ。少し離れたところに駅に向かう路線バスのバス停があったのですが、まだ時間に余裕があるので、仙台るーぷるに乗って市内を一回りして帰ることに。観光バスなので、市内の観光名所の案内を車内放送で流してくれるので、乗っているだけでも観光気分に浸れます。
印象に残ったのは、やはり仙台城でしょうか。仙台城へ向かうバスは、かなり急な坂を登っていきます。バスのアナウンスでも「山城」と紹介されていました。「中世=山城」「近世=平城」というイメージがあったので、少し意外でした。また、市内を流れる広瀬川を何度も横切りますが、僕は「青葉城恋唄」をリアルタイムで聴いている世代なので、なんとなく懐かしい気分になります。

仙台駅に戻り、昼食を食べてから列車に乗ろうと思っていたのですが、駅ビル地下の食堂街に行ってみるとどのお店も行列ができており、列車の時間に間に合わない可能性を考慮して、駅弁を購入して列車に乗ることに。駅構内に全国の駅弁を扱うコーナーがあり、大船軒の「鯵の押し寿司」も販売されていました。せっかくなので地元の駅弁をと思い、吉田屋という駅弁屋さんの「復幸炙りかきとうにめし」を購入(後で調べたら、仙台ではなく八戸の駅弁屋さんだったのですが)。僕は生牡蠣はあまり好きではないのですが、炙ったかきと、かきのエキスで炊きあげたご飯はとても美味しかったです。
列車に乗ってしまえば、後は帰るだけ。ポメラを使って今回の東北旅行の記録を書いたり、TwitterのTLを読んだりしていました。福島・郡山・黒磯で乗り換え、後は上野までという予定だったのですが、古河駅でとなりのホームに停車している湘南新宿ラインを見たら、かなり空いていたので、久喜でそちらに乗り換えました。古河駅は始発駅ではないですし、乗り換え時間が2分しかなかったので、乗り換えはしない予定だったのですが、僕の乗っていた列車は快速列車だったので、久喜駅では9分の乗り換え時間がとれました。これで、後は最寄り駅まで一本です。

「桜の下で待っている」の舞台探訪が今回の旅のメインテーマだったのですが、この本に対する愛着がますます深まりました。
「現地に行かなくても、小説の描写で十分味わえるのでは?」という考えもあるかもしれませんが、僕は漫画でもアニメでも映画でも、好きな作品の舞台には実際に行ってみたくなるタイプの人間です。それは、作品の描写の不足を現実で補う作業ということではなく、物語世界の中に自分の身を置く感覚を味わいに行くことなのだと思っています。
そして、もう一つ。復興の途上にある東北の姿に触れたことは、非常に強く印象に残っています。無論、現地の方々や震災直後から被災地に関わってきた方々からすれば遅すぎる訪問かもしれませんが、自分が飲み込まれ過ぎないような距離感を保つには、ちょうどよい時期だったのかなとも思っています。「もう五年」なのではなく「まだ五年」なのだということが、実感できた旅行でした。

posted by (C)akira

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コメント

「桜の下で待っている」は大好きな作品なので、この旅行記を読めて良かったです。
ありがとうございました。
作品の舞台を訪ねると、一層愛着がわきますね。
(涼も「麒麟の翼」を確かめに日本橋へ行ったことがあります)

それから、勘違いか余計なことだったらごめんなさい。
「正宗公」とありますが、「政宗公」のことですか?
もしそうなら、記事がいいのでもったいないなと思ったもので……。
お気を悪くなさったら、ごめんなさいね。


誤字のご指摘ありがとうございます。お恥ずかしい……。早速訂正いたしました。
今回通っただけになってしまった夏井も、いつか桜の季節に見に行けたらな、と思っております。

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