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2016年11月

「この世界の片隅に」

11月14日、立川シネマシティの「極上音響上映」で鑑賞しました。
立川シネマシティさんの告知ページはこちら
公式ホームページはこちら


戦前から戦中にかけての広島を舞台に、広島から呉に18歳で嫁いだすずさんを主人公にした物語です。
時代と舞台を考えれば、当然、戦争も原爆も描かれることになるわけですが、この映画が戦争を描くための映画かというと、そうではないと思います。
物語はすずさんの幼少期から始まり、昭和初期の広島市の人々の暮らしがていねいに描かれます。日常の仕事、家族や親戚との関わり、幼なじみの男の子。そして、そのすずさんが18歳の若さで呉に嫁ぐわけですが、嫁ぎ先での生活、親族との軋轢、ご近所とのつきあいなど、様々な場面が登場します。
映画を見ている間、自分もすずさんと一緒に昭和初期の呉で生きているような、そんな気持ちにさせられました。
なぜなら、この物語はすずさんの世界を、まるごとそのまま写し取ったような大きさを持っているからです。家族の話、恋愛の話、絵の話、町の話、戦争の話、そういった様々な要素を全て含んでいるのです。
そして、その時々のすずさんの素直な心情の吐露に引き込まれ、彼女のことをとても愛しく感じることができました。すずさんの声を演じたのんさんの演技が愛らしかったことも大きな要素かもしれません。そして、彼女を愛しく思えるからこそ、彼女の喜びも寂しさも怒りも悲しみも、受け取ることが出来る。そんな映画でした。


戦争を描いた映画というと、悲しさや悲惨さばかりが描かれるという印象があります。もちろんこの作品でもそういう部分は描かれていますが、それ以上に、嬉しさや楽しさも描かれているのです。それは、戦争を描いた場面でも同様で、例えば、呉を襲った米軍機を迎撃する紫電改が描かれる場面があるのですが、そこではその機体の開発に関わったすずさんのお義父さんが「わしらの2000馬力がええ音出しとる」と、自分たちの技術を誇りに思う場面があります。また、食糧難の時代に、道ばたに生えている草をあつめて、なんとか食卓に彩りを添えようと頑張るすずさんの楽しそうな姿も描かれます。
それはある意味、非常にけなげな場面で、人はどんな苦しい状況でも幸せを見つけて生きることができるということを訴えている面もあると思うのですが、苦しい状況に追い込まれた人間は、その苦しさに気づかずに、それを当たり前のものとして捉えてしまうという怖さも描いていると思うのです。そして、戦争の中の日常を描くこの映画が、その恐ろしさを意図的に描こうとしいているのだ、ということをくみ取れる場面もありました。


今の時代も、そこに飲み込まれてしまっている我々には気づかない(あるいは気づいているのに流されてしまっている)歪みがあるのではないか。そんなことも考えさせられる映画でした。


最後に、少し明るい話も。僕は最近「艦隊これくしょん」というゲームを始めたのですが、この映画にも駆逐艦や巡洋艦、戦艦の名前がいくつか出てきます。少し前の僕なら大和くらいしかわからなかったと思うのですが、青葉や利根の名前が出てきて嬉しかったことも追記しておきましょう。

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